村山談話・河野談話に未来はあるか?
第33回 「ブッシュに謝罪はしていない」と
思っていた安倍首相
自称保守派の言論人が、慰安婦問題に関して、全然
気づいていない安倍首相のミスがある。
第1次安倍政権時代の2007年(平成15)4月27日、
訪米した安倍首相とブッシュ大統領(当時)の
共同記者会見で、「従軍慰安婦問題について、
ブッシュ大統領に説明したのか。またこの問題について
改めて調査を行ったり、謝罪をするつもりはあるのか」
と質問されて、安倍はこう答えた。
「自分は、辛酸をなめられた元慰安婦の方々に、
人間として、また総理として心から同情するとともに、
そうした極めて苦しい状況におかれたことについて
申し訳ないという気持ちでいっぱいである、
20世紀は人権侵害の多かった世紀であり、
21世紀が人権侵害のない素晴らしい世紀になるよう、
日本としても貢献したいと考えている、と(議会で)
述べた。
またこのような話を本日、ブッシュ大統領にも話した」
続けてブッシュが言った。
「私は安倍総理の謝罪を受け入れる。
自分は、河野談話と安倍総理の数々の演説は
非常に率直で、誠意があったと思う」
ブッシュ大統領とアメリカ人は、この時点で
安倍首相が「謝罪」したという認識なのである。
7年前にこう謝罪したのに、第2次政権で河野談話の
見直しができると安倍が思っていたこと自体が
どうかしていたのだ。
どうやら安倍は、上記の発言は「謝罪」ではないと
本気で思っていたらしい。
2010年(平成22)のわしとの対談で、
安倍はこう言った。
「私がアメリカで慰安婦問題について謝罪をしたと
書いた新聞もありますが、私は謝罪なんかして
いないんです。向こうで申し上げたのは、
『20世紀は戦争の時代だったし、人権も抑圧された
ことがある。日本も無関係でなかった。
しかし21世紀はそうではない時代にしたいと我々も
考えている』ということです」
ではなぜブッシュが「安倍総理の謝罪を受け入れる」
と言った時に「謝罪ではない」と言わなかったのか?
目の前で「謝罪を受け入れる」と言われて
黙っていたのだ。
全世界がこれを謝罪と受け取った。
そう取らない者などいるわけがない。
それを安倍は後になって「謝罪じゃないやい!」と
駄々をこね、それが国際社会で通用すると
思っていたのだ。
安倍晋三のこういう空気を読まない感覚は、アメリカの
真意が読めない、国際社会の評判が読めない感覚に
繋がっており、日本国にとって案外リスクの高い人物
であることを、知っておいた方がいい。